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メンタルヘルスや労務にまつわる用語を分かり易く説明しております。
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EAP(Employee Assistance Program)
EAPとは、メンタルヘルスを通して職場内または個人の問題を抱える従業員を支援するプログラムです。アルコール依存、薬物依存が深刻化したアメリカで、これらによって業務に支障をきたす社員が増加したことに対応するために作られました。
日本においても、近年、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発病して休職、さらには自殺にまで至るケースが増えており、労災事故として認定されるケースが増加する傾向にあります。
社員の抱える問題、職場の抱える人間関係などの問題を個人的問題として処理して来た日本の企業でも、これらの問題が出現したときの対応コストをリスクマネジメントとして考え、あるいは、さらに一歩進んでCSR(企業の社会的責任)の一貫と考え、EAPを導入することが必要とされています。
労働者自身が自らのストレスを予防・軽減する「セルフケア」、管理監督者の行う「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフによるケア」、事業場外の専門機関の支援を受ける「事業場外資源によるケア」という4つのレベルで、下記のようなEAPを効果的に作り上げることが企業の課題となっています。
・メンタルヘルスケア推進のための教育研修・情報提供
・職場環境等の把握と環境整備改善
・メンタルヘルス不調への気づきと相談に対応出来るネットワーク作り
・休職者の円滑な職場復帰と就業継続のための支援
メンタルヘルスの問題を抱えていることを他者に告げることが、いまだに憚られる日本においてこそ必要なプログラムです。
【出典:e-ヘルスネット】
遺族補償給付
業務上の事由によって亡くなった場合に、労災保険から労働者の遺族に給付される手当のことをいいます。
また、葬祭を行った遺族に対して、葬祭料が支給されます。
遺族補償給付には遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があり、各々の定義は以下の通りです。
・遺族補償年金
死亡当時その方の収入によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(ただし妻以外の方は年齢制限があります)に支給されます。この条件を満たす遺族の方を受給資格者といいます。
受給資格者が2人以上の場合は、労働者災害補償保険法に定められた順位に従い最先順位の方に支給されます。
・遺族補償一時金
労働者の死亡当時、遺族補償年金の受給資格者がいないときに、労働者災害補償保険法に定められた順位に従い最先順位の方に支給されます。
解雇予告
解雇を行うときには、解雇をしようとする従業員に対し、30日前までに解雇の予告をする必要があります。
労働基準法第20条1項本文には、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(過去3か月間における1日あたりの賃金)を支払わなければならない」としています。
解雇予告は口頭でも有効ですが、口約束では後々にトラブルの原因となりますので、回顧する日と具体的理由を明記した「解雇通知書」を作成することが望ましいとされています。
例外として解雇予告が不要な場合としては、「従業員の責に帰すべき理由による解雇の場合」や「天災事変等により事業の継続が不可能となった場合」があります。
また、以下のような労働者に対しても解雇予告が適用されません。しかし、各日数を超えて引き続き雇用することとなった場合には、解雇予告制度の対象となります。
・試用期間中の者……14日間
・4か月以内の季節労働者……その契約期間
・契約期間が2か月以内の者……その契約期間
・日雇労働者……1か月
過重労働
長時間労働は、疲労の蓄積をもたらし、さらに脳・心臓疾患との関連性が高いことは医学的にも認められているところです。
厚生労働省が定義している健康を害するほどの長時間残業とは、週40時間の法定労働時間を超えて1か月当たり100時間、もしくは2〜6か月の月間残業時間が平均80時間を超える場合としています。
過重労働による健康障害を防止するためには、時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進、事業場における健康管理体制の充実、長時間労働者に対する面接指導の実施等が挙げられます。
強制貯金・強制労働の禁止
「強制貯金の禁止」は、労働基準法第18条にて、「使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない」と定めています。
ここで言う労働契約に付随してとは、労働契約の締結や労働契約の存続を条件とすることをいい、労働契約の中で貯蓄することが明確に約定されている場合にほか、採用条件の1つとして貯蓄契約を締結することが客観的に認められる場合や、採用後に貯蓄契約を締結しなければ解雇するといった場合等をいいます。
この条文に違反した場合には、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
「強制労働の禁止」は、労働基準法第5条にて、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制させてはならない」と定めています。この条文に違反した場合、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金が科せられ、労働基準法では最も重い懲罰となっています。
業務災害
業務災害とは、労働関係から生じた災害、すなわち労働者が労働契約に基づいて使用者の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます。
労働者が使用者の支配下にある状態を「業務遂行性」といい、業務に起因することを「業務起因性」といいます。
業務災害と認められるためには、この「業務起因性」と「業務遂行性」の2つの要素が必要になってきます。
このように、業務・事故・傷病の間に、相当な因果関係がなければ業務上の事由とは認められません。
業務上傷病者などの解雇制限
労働基準法第19条1項本文には、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間」は、解雇してはならないとしています。
従業員が安心して療養できるよう定められた、解雇を制限した規定です。
この期間は、業務上の負傷疾病の理由に基づく解雇だけではなく、他の理由に基づく解雇も制限されます。
例えば、休業前の不正行為に基づく懲戒事由があっても懲戒解雇・普通解雇はできません。
しかし、当該解雇制限は、労働基準法第81条における打切補償を行った場合と天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合には、適用されません。
過労死認定基準
労災保険で過労死と認定されるかどうかの基準は、次の様な労働実態から総合的に判断されます。
・異常的な出来事
発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的・場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと
・短時間の過重労働
発症に近接した時期において、特に過重な就労をしたこと
・長時間の過重労働
発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
尚、過重負荷の有無の判断として、労働時間の評価目安は以下のとおりとなります。
(1)発症前1か月前ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性は弱いと評価できる
(2)おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務との関連性が徐々に強まると評価できる
(3)発症前1か月前におおむね100時間又は発症前2か月ないし6か月にわたって、1か月間おおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価される
過労死
過労死とは、過重な労働負荷が誘因になり、高血圧や動脈硬化など、もともとあった基礎疾患を悪化させ、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患を急性発症させ、永久的労働不能や死に至らせた状態を言います。
最低賃金
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低限度額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者・使用者双方の合意のうえで定めても、それは法令によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
最低賃金には、各都道府県に1ずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められています。
36協定
労働基準法は、労働時間・休日について、1日8時間、1週40時間(第32条)及び週1回の休日の原則(第35条)を定めています。
これに対して、同法第36条は「労使協定を締結し、行政官庁に届け出た場合においては(第32条、第35条の規定にかかわらず)、その協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。」として、時間外労働や休日労働を行う場合の定めをしています。
この労使協定が労働基準法第36条に記載されていることから、通称36協定と呼ばれています。
36協定を締結するに当たっては、使用者と労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と以下の項目において労使協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
(1)時間外または休日労働をさせる必要のある具体的事由
(2)業務の種類
(3)労働者数
(4)1日および1日を超える一定の期間について延長することができる時間
(5)労働させることができる休日数
事業場外資源によるケア
メンタルヘルスを行う上で、メンタルヘルスケアに関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源の支援を活用することは有効です。
事業場外資源とは、精神科医療機関や地域の保健サービスを行う機関など、心の健康づくりを支援する機関や人的資源を指します。
主に「地域産業保健センター」、「都道府県産業保健推進センター」、「精神科・心療内科等の医療機関」、「安全衛生コンサルタント・産業カウンセラー・臨床心理士」、「労災病院」、「精神保健福祉センター、市町村保健センター」等が挙げられます。
制裁規定の制限
労働基準法第91条において「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」としています。
減給の制裁とは、職場規律違反等に対する制裁(懲戒)のひとつとして、本来受け取るべき賃金の中から一定額を差し引く処分のことです。
ここでの「1回の額が平均賃金の1日分半額を超えてはならない」とは、1つの事案に対して減額できるのは、平均賃金1日分の半額以下でなければならないことを指します。
また「総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは、一賃金支払期間において複数回減給を実施する場合であっても、減給できるのはその賃金支払期間の賃金総額の10分の1以内の範囲までであるということです。
仮にこの減給の制限を超える減給処分を行った場合、制限を超える減給処分は無効となります。
尚、欠勤・遅刻・早退等、実際に労働していない分に対して賃金を支払わないこと(ノーワーク・ノーペイの原則)は、この減給処分には該当しません。
職場復帰支援プログラム
心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰をし、業務が継続できるようにするためには、休業の開始から通常業務への復帰までの流れをあらかじめ明確にしておく必要があります。
会社は、厚生労働省による「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考にしながら、個々の事業場の実態に即した形で「職場復帰支援プログラム」を以下の要領で策定し、組織的かつ計画的に実施されるよう取り組む必要があります。
・職場復帰支援の標準的な流れを明らかにするとともに、それに対応する手順、内容及び関係者の役割等について定めます。
・円滑に実施するために必要な関連規程等や体制の整備を行います。
・関連規程等及び体制については、労働者、管理監督者及び事業場内産業保健スタッフ等に対し、教育研修の実施等により十分周知します。
事業場内産業保健スタッフによるケア
企業の産業医、保健師、人事労務管理スタッフ等が行うケアを指します。
具体的には、労働者や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案、メンタルヘルスに関する個人の健康情報の取り扱い、事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口になること等、企業の中心となって労働者の心の健康づくりの支援を提供していきます。
また会社は、事業場内産業保健スタッフによるケアに関して、職務に応じた専門的な教育研修、知識習得の機会を提供する必要があります。
ハラスメント
ハラスメントとは、相手に迷惑をかけること、即ち嫌がらせのことであり、職場でのハラスメントとしては、主にセクシャル・ハラスメント(セクハラ)、パワー・ハラスメント(パワハラ)があります。
セクシャル・ハラスメント(セクハラ)とは、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は、「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」を言います。男女雇用機会均等法により、事業者にその対策が義務付けられています。
パワー・ハラスメント(パワハラ)は、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景として、本来の業務の範囲を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることを言います。
また、パワー・ハラスメント(パワハラ)にあたる行為を明確にするため以下の6つに類型化しています・(1)暴行、傷害(身体的な攻撃)、(2)脅迫、暴言(精神的な攻撃)、(3)隔離、無視(人間関係からの切り離し)、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)私的なことに過度に立ち入る個の侵害
復職支援
厚生労働省の「心の問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」よると、心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰するためには、以下の5つのステップを参考に支援を行うと良いとされている。
【第1ステップ】病気休業開始及び休業中のケア
→労働者が病気休業期間中に安心して療養に専念できるよう、次のような項目については情報提供等の支援を行いましょう。
・傷病手当金などの経済的な保障
・不安、悩みの相談先を紹介
・公的又は民間の職場復帰支援サービスの紹介
【第2ステップ】主治医による職場復帰可能の判断
→主治医の診断結果が、必ずしも職場で必要とされる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。このため、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が精査した上で採るべき対応を判断し、意見を述べることが重要です。
【第3ステップ】職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
→職場復帰を支援するための具体的プラン(職場復帰支援プラン)を作成します。
具体的なプラン作成にあたっては、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、休職中の労働者の間でよく連携をしながら進めていきます。
【第4ステップ】最終的な職場復帰の決定
→労働者の状態の最終確認を行ったうえで、事業者によって最終的な職場復帰の決定を行います。
【第5ステップ】職場復帰後のフォローアップ
→職場復帰後は、管理監督者による観察と支援のほか、事業場内産業保健スタッフ等によるフォローアップを実施し、適宜、職場復帰支援プランの評価や見直しを行います。
みなし労働時間制
みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型労働時間制」「企画業務型裁量労働時間制」があります。
「事業場外みなし労働時間制」は、事業場外で労働する場合で労働時間の算定が困難な場合に、原則として所定労働時間労働したものとみなす制度です。ここでの労働時間の算定が困難であるとは、当該労働時間について、使用者の具体的・現実的な指揮監督が及んでいない場合を指します。
具体的には、外回りの営業社員など、厳密な労働時間の把握が困難な場合に、所定労働時間分労働したものとして扱うことを認めたものです。
「専門業務型労働時間制」は、デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分等に関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数とかかわりなく、労使協定で定めた時間数を働いたものとみなす制度です。
「企画業務型裁量労働時間制」とは、事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務遂行の手段や時間配分等に関して使用者が具体的な指示をしない業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。
4つのケア
厚生労働省による「労働者の心の健康保持推進のための指針」の中で示されているメンタルヘルスケアのことで、メンタルヘルスケア対策を効果的に進めるために必要なケアを4つの種類に分けて示しています。
1.「セルフケア」は、労働者が自らのストレスに気づき、予防対処し、または事業者はそれを支援することです。そこで、労働者に対して、セルフケアに関する教育研修、情報提供を行い、メンタルヘルスの重要性に関する理解の普及を図る必要があります。
2.「ラインによるケア」は、管理監督者が行うケアです。日頃の職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行うこと等です。会社は、管理監督者に対して、ラインによるケアに関する教育研修、情報提供を行う必要があります。
3.「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」は、企業の産業医、保健師や人事労務管理スタッフが行うケアです。「セルフケア」と「ラインによるケア」が効果的に実施されるように労働者や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行うこととされています。4つのケアの中で中心的な役割を果たします。
4.「事業場外資源によるケア」は、会社以外の専門的な機関や専門家を活用して、その支援を受けることです。労働者は、相談内容が社内に知れ渡ることを望まない場合が少なくなく、また社内よりも社外の専門家の方が、気軽に相談しやすいといった面もあるので、積極的な活用が必要とされています。
リワークプログラム
労働者が、現在の職場への復帰や新たな職場での就労が可能となるように、様々な活動を通して適応力を身につけていくことを目指すプログラムです。
また、病気の再発や再休職の予防を重視しているプログラムでもあります。
実施機関としては、「各都道府県の障害者職業支援センター・精神保健福祉センター」、「医療施設の精神科・診療内科」、「NPO法人」等が挙げられます。
プログラム内容は支援する機関によって様々ですが、無理なく復職できるよう、
1)生活リズムの立て直し
2)コミュニケーションスキルの習得
3)職場ストレスへの対処法の獲得
を基本としています。
実際にプログラムの利用にあたっては、実施されるプログラムや施設の雰囲気が自分に合っているか、事前にいくつかの施設を見学してから選ぶようにします。
労災認定
近年、仕事によるストレスが関係した精神障害について労災保険請求が増え、その認定を迅速に行うことが求められています。この様な背景をもとに、厚生労働省において平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定め、これに基づいて労災認定を行うこととしています。
この中で、精神障害の労災認定要件とは、
(1)認定基準の対象となる精神障害を発症していること
(2)認定基準の対象となる精神障害の発症前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
(3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
としています。
業務による強い心理的負荷では、【「特別な出来事」に該当する出来事がある場合】と【「特別な出来事」に該当する出来事がない場合】に分類することができ、
【「特別な出来事」に該当する出来事がある場合】とは、
・生死に関わる極度の苦痛や永久労働不能になる後遺障害を残す業務上の病気やケガ
・業務に関連し、他人を死亡させ、又は生死に関わる重大なケガを負わせたもの(故意によるものを除く)
・発症直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の時間外労働を行った場合等が挙げられます。
【「特別な出来事」に該当する出来事がない場合】とは、
・仕事の裁量性の欠如。具体的には、業務が単調で孤独となった、自分で業務の順番・やり方を決めることができなくなった、自分の技能や知識を業務で使うことがなくなった
・職場環境の悪化。具体的には、騒音、温度(暑熱・寒冷)、湿度(多湿)、換気、臭気の悪化等
・職場の支援・協力等の欠如。具体的には、仕事の見直し改善、応援体制の確立、責任の分散等、支援・協力がなされていない等
・恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められる場合等が挙げられます。
個体側要因による発病かどうかは、精神障害の既往歴やアルコール依存状況などの個体側要因についてその有無とその内容について確認し、個体側要因がある場合には、それが発病の原因であるといえるのか、慎重に判断されます。
労災病院勤務者メンタルヘルスセンター
労災病院勤務者メンタルヘルスセンターは、労働福祉事業団が運営する労災病院に設置されています。
主な活動として、
・労働者に対するストレス疾患の診療や相談(メール相談・対面式カウンセリング)
・職場ストレスに起因する疾病についての研究
・労働者・医療従事者・一般市民等を対象とした講習・研修
・ストレスドッグによるストレスの早期発見及び健康指導
・職場復帰支援(メンタル不調者に対する治療と就労の両立を支援する活動)等を行うとともに、産業保健推進センターを介すること等により産業医に対する専門的・技術的な支援を行っています。
労災保険(労働者災害補償保険)
労働者災害補償保険(労災保険)は、労働者災害補償保険法に基づいて業務上災害又は通勤途上災害によって、労働者が負傷、疾病にかかった場合、又は障害が残った場合等に、被災した労働者やその遺族に対し給付を行う制度です。
またこの他、被災労働者の社会復帰の促進、遺族の援護等も行っています。
業務上災害においては、労働基準法に、使用者が療養補償その他の補償をしなければならないと定められています。
そこで、労働者が確実に補償を受けられるようにするために、及び事業主の補償負担の軽減のために労災保険制度が設けられ、労働者(正社員のみならずパート・アルバイト等使用されて賃金を支給される全ての者)を一人でも使用すれば、その会社は強制的に適用事業とすることとしています。
被災労働者が労災保険により療養給付を受けた場合は、使用者は労働基準法の補償義務を免除されることになります。
労働基準監督署
労働基準監督署とは、各都道府県に複数ずつ配置され、法定された労働条件の遵守確保のための臨検等や労災保険給付の関連業務を行う行政監督機関です。
国レベルでは厚生労働省が、各都道府県レベルでは労働局が配置されていますが、労働基準監督署は労働者にとって最も身近な存在と言えます。
訪れる労働者の時間外労働に対する賃金不払いの相談、パワハラ・セクハラに関する相談、解雇に関する相談等に乗り、管轄下の事業場を見回って各種法律が遵守されているかどうかチェックを行っています。
また、届けられた就業規則や36協定の受理、解雇予告の除外認定も労働基準監督署が行っています。
労働基準監督署の監督官は、司法警察官の権限を持ち合わせおり、法律違反と判断した場合には是正のための指導や調査、悪質な場合には強制捜査や逮捕を行うことも可能です。
労働基準法
労働基準法は昭和22年に制定。
労働条件の最低基準を定めて、労働者の保護を図る目的で制定されました。
この最低基準を守らせるために、強行法規としての性格を持ち合わせています。
このため労働基準法に違反すると罰則が適用されます。また、一般法である民法の特別法にあたりますので、民法の規定より優先適用されます。
労働基準法の内容は以下の通りです。
第1章 総則
第2章 労働契約
第3章 賃金
第4章 労働時間・休憩・休日及び年次有給休暇
第5章 安全衛生
第6章 年少者と女性
第7章 技能者の育成
第8章 災害補償
第9章 就業規則
第10章 寄宿舎
第11章 監督機関
第12章 雑則(労働者名簿・賃金台帳など)
第13章 罰則
尚、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効になり、無効となった部分は、労働基準法で定める基準によることとされています。
労働保険
労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険とを総称した言葉です。
保険給付は、両保険制度で別個に定められていますが、保険料の納付等については、一体のものとして取り扱われています。
農林水産事業の一部を除き、労働者(パートタイマー・アルバイトを含む)を一人でも雇入れれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、事業主は成立(加入)手続きを行い、労働保険料を納付しなければなりません。
実際の行政窓口は、労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所がそれぞれ担当しています。
尚、労働保険の加入を怠っていた期間に労働災害が生じた場合、その事業主は次の1~2を徴収されます。
1. 最大2年間遡った労働保険料及び追徴金(10%)
2. 以下により、労災保険給付額の100%又は40%
(1)労働保険加入手続きについて労働局から加入勧奨・指導を受けていた場合
→事業主が故意に手続きを行っていなかったものと認定し、労災保険給付額の100%が徴収されます
(2)(1)以外で、労働者を雇い入れてから(労働保険の適用事業となってから)1年を経過していた場合
→事業主が重大な過失により手続きを行わなかったものと認定し、労災保険給付額の40%が徴収されます
労働保険給付
労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険とを総称した言葉です。
労働者災害補償保険(労災保険)における給付は主に以下の通りです。
・「療養(補償)給付」
労働者が、業務や通勤途上で負傷したり、疾病にかかった場合、労災保険で診察や治療を受けることができますが、これを業務災害の場合は「療養補償給付」、通勤災害の場合は「療養給付」と言います。
・「休業(補償)給付」
労働者が業務上の事由、または通勤による負傷疾病のために、労働することができず、そのために賃金を受けていない場合は、労働者の請求によって、休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されることになっています。
・「傷病(補償)年金」
労働基準監督官の職権により、1年6ヵ月以上の休業が続いている労働者に対して、傷病等級に該当している場合に、休業(補償)給付から傷病(補償)年金への移行が行われます。
・「障害(補償)給付」
労働者が業務上の事由、または通勤による負傷疾病が治った(治ゆ・病状固定)場合に、一定の障害が残ってしまった場合に支給されます。
・「遺族(補償)給付」
業務上の事由又は通勤途上が原因で亡くなった労働者の遺族に対して支給されます。
・「葬祭料」「葬祭給付」
葬祭を行った遺族等に対して支給されます。
・「介護(補償)給付」
傷害補償年金又は傷病補償年金の受給者であって、障害等級や傷病等級が1級に該当する等一定の要件を満たすと支給されます。
・「二次健康診断等給付」
労働安全衛生法に基づいて行われた定期健康診断等において、直近のもので脳や心臓疾患に関連する一定の項目に所見があった場合に給付されます。
雇用保険における給付は主に以下の通りです。
・「基本手当」
雇用保険の被保険者が、定年・倒産、解雇、自己都合により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、一日も早く再就職ができるように支給されるものです。
・「技能習得手当」
受給資格者が積極的に公共職業訓練等を受ける条件を整え、その再就職を促進するために、受給資格者が公共職業安定所長または地方運輸局長の指示により公共職業訓練等を受講場合に、基本手当とは別に受けられるものです。
・「傷病手当」
受給資格者が離職後、公共職業安定所に来所し求職の申し込みをした後に、15日以上引き続いて疾病または負傷のために職業に就くことができない場合に、その疾病または負傷により基本手当の支給を受けることができない日の生活の安定を図るために支給されるものです。
・「高齢者求職者給付」
高年齢継続被保険者が失業した場合、一般の被保険者とは異なり、被保険者であった期間に応じて、基本手当日額の30日分または50日分に相当する給付が支給されます。
・「就職促進手当」
就職促進手当として、再就職手当、就業手当、常用就職支度手当があります。
・「移転費」
受給資格者等が公共職業安定所の紹介した職業に就くため、または公共職業安定所が指示した公共職業訓練などを受講するため、その住所・居住を変更する必要がある場合に、受給資格者本人とその家族の移転に要する費用が支給されます。
・「広域求職活動費」
受給資格者が公共職業安定所の紹介により、広範囲にわたる求職活動をする場合に支払われるもので、交通費・宿泊費が支給されます。
・「教育訓練給付金」
労働者の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする給付制度です。
他にも雇用保険制度には、「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」の支給制度があります。
ワークシェアリング
ワークシェアリングとは、雇用の維持・創出を図ることを目的として労働時間の短縮を行うことであり、雇用・賃金・労働時間の適正な配分を目指すことを言い、1970年代深刻な高失業率を緩和するためにヨーロッパで生まれた考え方です。
この施策は、個々の企業における労使の自主的な判断と合意により実施されることが必要とされます。
わが国の経済社会の現状に鑑み、速やかに取り組む必要のある考えられるワークシェアリングの形態は以下の2つです。
・「多様就労型ワークシェアリング」
短時間勤務や隔日勤務等、多様な働き方の選択肢を拡大するために社会全体で取り組むワークシェアリング
・「緊急対応型ワークシェアリング」
生産量が減少し、雇用過剰感を抱える企業において、所定労働時間の短縮とそれに伴う収入の減額を行うことにより、雇用維持を実現するワークシェアリング
ワークシェアリングは、高齢者にも仕事を創出することができ様々な就業体制を認めているため少子高齢化時代のひとつの働き方として、又は女性への雇用機会調整の手段のひとつとして注目されています。
ワークライフバランス
ワークライフバランスは、内閣府男女共同参画会議の仕事と生活の調和に関する専門調査会によると、「老若男女の誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態」と定義されています。
近年、「多様な働き方、暮らし方を認め合う社会」を実現するためのキーワードとして注目されています。
これらの社会を実現していくためには、国や自治体による取り組みだけではなく、働く現場の企業トップから従業員まで、これからの働き方に対して共通の認識を持つことが必要とされています。
また、個々の企業にとってワークライフバランスの取り組みは、以下のように単なるコスト対策ではなく、将来の成長・発展に繋がる「明日への投資」として経営戦略の上で重要な柱となります。
・「仕事内容や進め方を見直し、効率化」
業務配分の見直しや情報の共有化など、仕事の効率化のきっかけとなる
・「従業員の意欲向上、生産性の向上」
従業員の職場環境に対する満足度を高め、意欲と能力を引き出す
・「優秀な人材の確保・定着」
希望するライフスタイルを実現できる環境は、優秀な人材を惹きつける
・「企業の社会的評価を高める」
CSR(企業の社会的責任)を果たすことにより、企業の社会的評価を高めることができる
割増賃金
使用者は、災害の場合や公務の場合、36協定を締結した場合には、労働者に時間外労働及び休日労働を命じることができますが、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。
(労働基準法第37条1項・4項、労働基準法第37条1項の時間外及び休日の割増賃金に係る最低限度を定める政令)
割増賃金率は、以下のとおりとなります。
・時間外労働……2割5分以上(1か月60時間を超える時間外労働については5割以上*)
・休日労働……3割5分以上
・深夜労働……2割5分以上
*中小企業については、当分の間適用が猶予されています
割増賃金の算定基礎となる賃金の計算においては、原則として、賃金総額を所定労働時間数で割ることにより1時間当たりの賃金額を算定することとします。
この割増賃金の算定基礎となる賃金は、通常の労働時間又は労働日の賃金ですが、以下の賃金においては除外しても構いません。
○家族手当/通勤手当/別居手当/子女教育手当/住宅手当/臨時に支払われるもの/1ヵ月を超える期間ごとに支払われるもの
【監修:社会保険労務士 杉 計一】
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